宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

2019年3月30日土曜日

Out of the World 武道は世界を駆けめぐる(岡本洋子師範著)

 世界的な合気道家である合気道京都代表の岡本洋子師範の書籍「Out of the World 武道は世界を駆けめぐる」が発売されました。





 岡本先生とは特に面識はありませんでしたが、数年前の全日本合気道演武大会でたまたま席が近くになったことがありました。その時に「小説の剣客商売の佐々木美冬さんが現実にいたら、きっとこんな風貌では…」と思い、また、「外国人が想像で心に描くサムライ的な女性(笑)の第一人者」という感じでとても印象深く、その後、動画等で先生の活動を興味深く拝見させていただいていました。


 細身でスラっとした体形で手足が長く、しかもシュッとしたスタイルのため演武が映える師範です。私のような日本ネイティブな柴犬体形とは全く異なります。うらやましい…(笑)


 さて、それはさておき岡本先生は、曹洞宗のお寺の生まれで、22歳での春に合気道に出会い、合気会本部で修業されてきたそうです。また、ご主人が大学で教鞭をとられる方で、やはり合気道家のクリスさん、そして二人の子供(長男、次男)を伴って、米国のオレゴン州のポートランドに移住、子育てしながら合気道を続けられたそうです。凄い!! 本人の努力ももちろんですが、きっと合気道に理解のある家族なのでしょうね。


 ちなみに、移住先のポートランドで自分が稽古を続けたいがためにポートランド合気会を設立。その後、帰国する2003年まで道場長を務められたそうです。


 その後、フランスのパリでクリスチャン・ティシェ師範に師事。日本に帰国後、京都の西陣に合気道京都を設立し、現在に至るそうです。なお、(公財)合気会七段です。







 第4章では、合気道との出合いの地である合気道本部道場での稽古づけの日々と、現在の拠点である合気道京都(西陣道場)の成立過程や活動を紹介するとともに、「稽古法」と「指導法」についての特別インタビューが収録されています。


 そして巻末には用語解説と技の連続写真を掲載されており、合気道家だけでなく合気道を知らない方にも読んでいただけるようになっています。


 特に印象に残ったのが武道に対する思い、 

 「私たちは、伝統の中で培われてきた武道という『より完成された人間になるための、生きる道』を世界に向けて発信し続けている。

 バレエで頂点を目指す日本の若者達がローゼンヌやパリのオペラ座を夢見てきたように、世界の合気道家たちは「AIKIDO」の祖国、日本を目指し夢を見る。日常の暴力が絶えない国で育った若者が、平和の武道、合気道に出会い「いつか自分の国をそうするんだ」という誓いのもとに地球の裏側からやってくる 。

 そんな彼らの熱い思いを、私たち日本の武道家はしっかりと受け止めなければいけない。日本古来の伝統という価値観念の上に胡坐をかいているだけでは「BUDO」は世界に根付いてはいかない。日常生活の中に実践的な武道の精神を取り入れ夜会に貢献し実践することに21世紀の武道家は真剣に向かい合うべきだと思う。

 杓底一残水、汲流千億人

 柄杓の底に残された一滴の水でも、清流に返してやればやがて多くの人の喉を潤す。一人一人がひとりが毎日の稽古に徹し、自分自身の中に平和を築いていけば世界中の人々が平和になる。気の遠くなるような希望だが、それが開祖植芝盛平船先生の合気への思いであったのではないか、と私は思う。」



 同感です。
 私もその一助となれるよう努めます。



 以下は書籍の内容です。
 よろしければご一読を…。





【Out of the World 武道は世界を駆けめぐる】

 「木版を叩く音が道場内に響きわたり、稽古が始まる。


 地球上のどこにいてもまったく同じ気持ちになる瞬間である。正面に礼をすると、阿吽の呼吸で木綿の稽古着と袴が擦れ合い、道場生たちが揃って礼をする所作で空気が振動する。
「お願いします!」

 さあ、今日もいい稽古をしよう! 」(本文より)


 本書は、世界で活躍する合気道家、岡本洋子がその活動をとおし、文化とは何か、武道とは何かを見つめなおした初の著作である。



第1章 トーゴ ヒエトロ
 遠く離れた日本の武道を日々稽古する少年たちに出会ったトーゴ--ヒエトロ


第2章 アメリカ ポートランド
 家族で移住し、初めて道場を開くことになったアメリカ--ポートランド


第3章 フランス パリ
 師と出会い、仲間を得た武道大国フランス--パリ


第4章 日本 東京・京都
 多くの国と地域で、文字通りじかにそこに住む人に触れ、関係をつないだ経験を振り返りながら、各国の人々が日本文化や武道に何を求め、それぞれの現実の中で、どのように武道を社会に還元しようとしているのか、その固有性、類似性を探り、武道を通した人間探求の道を描く。
 

 「先生、僕たちはなんで合気道をするんですか?」
 トーゴの小さな村で合気道をする少年の問いに、はたして著者はなんと答えたのか?
 本書を通し、著者の強さと美しさに通底する合気道と人への思いが明らかになるとともに、私たちはそこにさらなる進化と深化を見ることだろう!


著者について

岡本洋子(おかもと・ようこ)

1978年、公益財団法人合気会、合気道本部道場に入会、合気道の稽古を始める。79年渡仏。サークル・ティシエにて稽古を続け、81年に帰国。その後8年間本部道場で稽古を重ねる。

1989年渡米、オレゴン州ポートランドにポートランド合気会を設立し、2003年の帰国まで道場長をつとめる。

同年、合気道京都を設立。現在は京都を中心に、海外での講習会なども指導しながら、一稽古人として合気道探求中。合気道七段。




 【リンク】
◇宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」HP
https://sites.google.com/site/gentokukai/

◇合気道元徳会ブログ「合気の舞」
http://gentokukai.blogspot.jp/

◇合気道元徳会道場長コラム「サムライハート」
http://aikido-gentokukai.blogspot.jp/


◇YouTube「Aikido Gentokukai」チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCs_Khixbq0eEYtQcD27Vdnw