随分前のことですが、大学時代に合気道九段の多田宏先生に学ばれた方が仕事の関係で来県され、当会で稽古をされたことがありました。数年間、宮崎で稽古されましたが、その間に多田先生のお話を多々伺うことが出来ました。
さて、その多田宏先生の書籍「合気道に活きる」は、以前の「月間武道」に連載されていましたが、内容は合気道をあくまで「道」としてとらえられており、たいへん興味深い内容となっています。興味のある方は、ぜひご覧ください。
<参考>
https://aikido-gentokukai.blogspot.com/2018/11/blog-post_10.html
多田先生の文章は含蓄に富んでおり、興味のある箇所が多々ありますが、その中でも下記の植芝盛平先生に関する下記の記述がたいへん勉強になりました。とても重要な場所です。じっくりご覧ください。
「植芝先生の稽古は、不思議な雰囲気につつまれていた。鋭く一瞬で相手を制する動きでありながら、道場をおおう暖かい感じは、どの様にして生まれるのか。当時は学生で未熟な私等をも、明らかに同化される、その感化力は大変なものであった」
「ある時期、私は不思議なことに気がついた。先生に近寄ったとたん、自分の心と体が何か透明な感じになる。そして先生に触れると、それはよりはっきりして、まるで自分と先生の心と体の境の区別が、無くなったような感じとなるのである。それは先生の修行で得られた、対峙を超えた心から生じる大きな気の力が、我々を包み込んだのであろう。その力は綾部で、先生が心から尊敬された出口王仁三郎聖師から直接、以心伝心で受けられ、更に先生御自身の必死の修行でなられたのだろうと思う」
※合気道多田塾HPより
この文章を拝読し、真っ先に浮かんだのが宮本武蔵の五輪の書にある「うつらかす」という技術‥、そして、植芝吉祥丸先生のいうところの「澄み切りの境地」‥。
そして、大東流の佐川幸義先生の透明な力…。
合気道家として目指すべき境地は、最終的には「ここ」だと思います。
また、多田先生は、このような表現もされています。
多田:植芝先生のご指導を受けていて、先生に触れると瞬間に頭が空になるというのが、感じられるんです。つまり植芝先生と同じ状態になるらしい、とわかりました。
―あ、同調するわけですか?先生の自我がなくなっちゃう。
多田:先生が無心だからでしょうね。
―それは、すごいですね。
多田:前からそうかもしれない、と思ってはいました。然し、その時は、”確かにそうだ”と感じ取ったんです。先生と私とは別の体、という感じがない。この事を友人に話しても、当時はなかなか信じないというか、分からなかったのですが、最近は素直に信じるようになってきました。
―青木さんがやったときは、たしか脳波をとって、遠当てのときに同調していたそうですね。
多田:気功師が治療している時、患者の脳波が治療師の脳波と同調していると報じられた事があるでしょう。だから最近の人は信じるけど、ついこの間まで、そんな話しをしても、なかなか信じなかったんですよ。
―その瞬間、記憶がない?
多田:いや記憶がないんじゃない。普通より、むしろ透明な、よりはっきりした状態です。そうでなければ、大先生と同じ様な状態になった、ということを感じ取れて、いないでしょう。以心伝心とは、本来この様な事からではないかと思いますね。
―あ、そうか。自分の身体に伝わってくるんですね。
多田:何も分からなかったら稽古になりません。先生に投げられる瞬間には、独特な雰囲気の呼吸がある。それを直に得ることが出来るから、先生に手を取って教えて頂くのが、本当に大切なのです・・。
上記にでてくる青木さんとは、新体道創始者の青木宏之さんのことですね。
相手に触れていない状態の方を倒す技である「遠当て」を再現された方です。
私もビデオで「遠当て」を拝見したことがありますが、何か見えない気のようなもので吹っ飛ばすのではなく、意識の狭間に気合を叩き込む!という感じでしたね。
ただ、そういう現象は確かにあるのでしょうが、「遠当て」自体は、武術には使用しにくいものだな、とその時は感じました。
‥が、同時にこの原理自体はたいへん重要だとも感じました。
その後、「猫の妙術」という山岡鉄舟先生の愛読書でもあった極意書があるのですが、その中の一番の達人の老猫の技の解読にも役立ちました。
このような世界について、皆さんはどう思われますか?
怪力乱神を語らず‥、なので、このような事例について、現在まであまり話さないようにしていました。
最後に再び多田塾HPから引用させていただきます。
関係者の皆様に御礼を申し上げます。ありがとうございました。
‥‥先生の稽古は、一種独特の雰囲気を、道場にかもし出す。それはあたかも道場全体が、先生の呼吸と共に、息を始めるかのようであった。
はじめてお教えを受けた時、私は「植芝先生は、随分進んだ先生だ」と感じた。おかしく又先生に対し不謹慎な表現かもしれない、だがそれは次のようなことである。当時、早大の仲間の間で出た植芝先生の噂では、現代の武道とは全く異なる、古流柔術の実戦的な技を使い、而も不思議な能力を持つ武術家で、近代感覚では捉えられない、古い日本の時代の大名人が、今の世に現われた様な人だ、というような話であった。
ところが実際に会った植芝先生は、今まで会ったどの武道家やスポーツマンよりも、合理的で、ある意味において、ずっと近代的であった。先生の動きの安定した律動が、緻密で勇壮なことも、印象に強かったが、「何よりも、実戦に使えば、一瞬にして相手を倒せる動きのなかにも、精神的に道場に居る人全てを包む、暖かい雰囲気があったことである。人間が今にもっと進歩したならば、この先生のようになるのでは、と感じたのかもしれなかった」。
合気道多田塾HPより
只々、こうありたいものだと思います。
私達の目指すべき場所は間違いなくここです。
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2020年5月30日土曜日
2018年10月26日金曜日
「正勝 吾勝 勝速日」(まさかつ あがつ かつはやひ」
合気道開祖である植芝盛平先生が好んだ言葉に「正勝吾勝勝速日」(まさかつあがつかつはやひ)があります。
元々は神道用語で、「正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命」など(古事記や日本書記等で若干異なる)と記されるアメノオシホミミという神様からきています。
なお、読みは「マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ」。
この言葉の意味について、植芝盛平先生の解釈は、以下の通り。
「勝とうと気を張っては何も視えんのじゃ。愛をもってすべてをつつみ、気をもってすべてを流れるにまかすとき、はじめて自他一体の気、心,体の動きの世界が展開し、より悟り得た者がおのずから勝ちをおさめている。勝たずして勝つ−正(まさ)しく勝ち、吾に勝ち、しかもそれは一瞬の機のうちに速やかに勝つ」 植芝盛平伝より引用
これが、超一流の武道家であり、これまた有名な宗教家に神の化身だと言われた超一流の宗教家であった植芝先生の見解です。
なるほど深く考えさせられます。
合気道をただの武術として理解すると、どうしても浅く低い見解になりがちです。
合気道という道を探求するには、ただの武術ではない、そこから飛躍した愛の世界の理解が必要になるのでしょう。
ありがたいですね。いつまでたっても上には上の世界がある‥。深い!
合気道を選択してよかったとあらためて感じました。
元々は神道用語で、「正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命」など(古事記や日本書記等で若干異なる)と記されるアメノオシホミミという神様からきています。
なお、読みは「マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ」。
この言葉の意味について、植芝盛平先生の解釈は、以下の通り。
「勝とうと気を張っては何も視えんのじゃ。愛をもってすべてをつつみ、気をもってすべてを流れるにまかすとき、はじめて自他一体の気、心,体の動きの世界が展開し、より悟り得た者がおのずから勝ちをおさめている。勝たずして勝つ−正(まさ)しく勝ち、吾に勝ち、しかもそれは一瞬の機のうちに速やかに勝つ」 植芝盛平伝より引用
これが、超一流の武道家であり、これまた有名な宗教家に神の化身だと言われた超一流の宗教家であった植芝先生の見解です。
なるほど深く考えさせられます。
合気道をただの武術として理解すると、どうしても浅く低い見解になりがちです。
合気道という道を探求するには、ただの武術ではない、そこから飛躍した愛の世界の理解が必要になるのでしょう。
ありがたいですね。いつまでたっても上には上の世界がある‥。深い!
合気道を選択してよかったとあらためて感じました。
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2016年5月30日月曜日
「武産」(たけむす)
合気道開祖植芝盛平先生は晩年に、
「宇宙と結ばれる武を『武産』の武というのである」、
「宇宙の経綸にあった武の技を生むのが合気の使命なのである」、
‥と話されていたそうです。
結局のところ、合気道修行の最終段階は、「武産」(たけむす)なのでしょう。
最近、この言葉に、ようやくピントがあってきた気がします。
これは、合気道を人間相手の技、つまり「人」を相手にしていたら分からないのではないか‥、そう思います。
やはり、天や宇宙を相手にした合気道、というくくりで理解しないといけない気がします。
植芝盛平先生は、普段から「まず天之浮橋に立たなければならない」と言われていたようですが、これは、宇宙の入口と解釈することで理解できますね。
合気道は武術ではあるが、その段階に踏みとどまってはいけない‥、やはり宇宙の研究が必要です。
【リンク】
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「宇宙と結ばれる武を『武産』の武というのである」、
「宇宙の経綸にあった武の技を生むのが合気の使命なのである」、
‥と話されていたそうです。
結局のところ、合気道修行の最終段階は、「武産」(たけむす)なのでしょう。
最近、この言葉に、ようやくピントがあってきた気がします。
これは、合気道を人間相手の技、つまり「人」を相手にしていたら分からないのではないか‥、そう思います。
やはり、天や宇宙を相手にした合気道、というくくりで理解しないといけない気がします。
植芝盛平先生は、普段から「まず天之浮橋に立たなければならない」と言われていたようですが、これは、宇宙の入口と解釈することで理解できますね。
合気道は武術ではあるが、その段階に踏みとどまってはいけない‥、やはり宇宙の研究が必要です。
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