宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

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2020年7月29日水曜日

心に剣を持て!(稽古休止中の一人稽古について)

 稽古休止中の課題です。  
  
 それは、「心に剣を持ってほしい」ということ。
  
 合気道や武道の稽古は、道場だけでなく、社会生活で行ってこそ意味があります。私は、先輩方にそう習いました。経験上、とても有益であり、皆さんにも知っていてほしいと切に願います。
  
 さて、合気道は剣の理合を体術に表したものですが、要は今まで学んだ合気道の剣の理合を社会生活で実践するのです。社会に出れば、理不尽な仕打ちを受けることや、意地の悪い人との交流も避けられません。正直、辛いことも多々あります。  
  
 我々、武道を学んできた者は、心に剣を持ち、辛いことには心の体捌きで、入身・転換をなしつつ、自身を傷つけない工夫が必要です。 もちろん、社会生活は真剣に送るべきでしょう。しかし、真面目すぎても具合が悪い、嫌な人物との接触は、心の剣で遊んでいる気構えで対処するのです。余計なストレスがなくなり、よいものですよ。  
 
 「‥うーん、今日は一本とられた失敗失敗、よし、次は頑張ろう!」  この程度の心境で、相手とのやりとりを楽しみながら社会生活を送るのです。  
 
 そして、心は絶対に「居着かない」こと。  
 
 「居着く」とは、物理的に動きが鈍っている状態のことです。軽快な歩法・ステップが出来なくなっている状態。
 
 「心が居着く」とは、物事を深く考えすぎて、既に精神を病んでいる状態です。
 
 心の本性は、「コロコロと転がるものだから、心という」、心の居着いた状態は、心が持つ本来の働きを失った状態‥。 
 
 こうならないために、心の剣で戦い(社会生活)を楽しむのです。  武道に道具はいらないのです。  
 
 「心に剣を持つ!」、これだけで立派な武道家になれます。  
 
  具体的には以下のとおり。
 
 
『礼』
  「立場をわきまえ、不快感を与えないこと」、「形式よりも気持ちが大事」が基本と心得ること。また、社会人としての基本的なマナーを全て一通りは学んでおきましょう。組織に属する者は、いくら実力があっても礼を欠く場合は、現代版の遠島・島送りは当たり前に行われます。  
  
 礼を分かりやすく示せば、5つのS、つまり「5S(ファイブエス)」にまとめられます。これは、「スピード、スマイル、誠意、スマート、スタディ」の頭文字のSをまとめたもの。これを軸に仕事に従事すれば間違いなし。誠意が中心にあることを忘れずに‥。詳細は自身で体験し理解しましょう。
  
  『構え』  
 心、頭脳、身体の最大限の能力を発揮する鍵は姿勢にある。常に姿勢を正して、最大限の能力を発揮できる体勢を維持し、様々な困難を突破しましょう。また、これからは、自身の天命とは何かを自覚することに努めて、それぞれの「心構え」を練り上げましょう。
  
  『歩法』  
 絶対に居着かないこと。心が居着いた状態がいわゆる鬱やノイローゼと呼ばれる状態。また、身体が軽快なステップが踏めないようでは重用されません。そのためには、心と身体のどちらも居着かせない工夫を怠らないことが大切です。
  
  『間合い』  
 他人との間合い間隔を磨くことは大事。「親切とお節介の違い」の理解が間合い感覚。このため、踏み込み過ぎず、離れ過ぎないことが肝要。「軒先を貸したら母屋を乗っ取られた」という例え話は、この間合い間隔の欠如が原因。自分なりのちょうどよい間合い間隔を掴みましょう。
  
  『入身』  
 問題が発生したら、逃げずに素早く入身すること。逃げて下がるほど負けに近づくのは武術界の常識です。 『転換・転身』  問題に応じて柔軟に対応すること。
 真っ直ぐ対応してダメなら引いてみる。引いてダメなら回してみる。回せないなら自分が回れ。時と場合によっては、「回答を出さない回答」も一つの回答。常に柔軟な姿勢が必要。しかし、ベテランになり実力も備われば、「押さば押せ、引かば押せ」(相撲の極意)で攻め続けることもよいと思います。
 
  『技』  
 力を使わずに仕事するのが理想。そうなるまでは、楷書の段階なので、きっちりと正確に誤りのないよう気を抜かずに仕事すること。最終的には、意識せず、ぶつからず、サラサラと流麗な仕事を目指しましょう。
  
『残心』  
 仕事の最終チェックは怠らないこと。これは、答案用紙の再チェックと同じことなので、最終的にミスをすればその仕事の意味がなくなることもあるので注意しましょう。
  
  『見切り』  
 自身に全く手落ちがなく、何の因果か分からない場合でも、様々な不幸が廻ってくる場合があります。厳密に言えば、これも本人の業(ごう)なのですが、なかなかそう思えないことも多いですよね。このような場合は、いくら考えても結論はでませんので、ある程度のところで「見切る」ことができないと自身を傷つけてしまいます。  
 
 しかし、人のせいにしては絶対ダメ。消えかかっている業に新たな業を付け加えることになります。  自身に恥じるところがなければ、「今回、自分自身、若しくは家族等関係者の様々な思念・行動・因縁・因果により、このような事態に陥ってしまったが、これもいったん起こってしまえばその悪因が消えてしまう証拠だろう。これくらいで済んでよかったな~。自分はなんてラッキーなんだ(笑)」と思って、それ以上深く考えないようにし ましょう。これも大切な見切りです。
 
  「何かあるのが人生」です。  困難がふりかかってきたら、びくびくと臆病になるのではなく、これも合気道の修行だと思って、『この困難をどう料理してやろうか!!』ぐらいの気持ちに切り替えて今を乗り切るのです。  
 
 そして最後が『気力』!  この『気力』が一番大事です。そして、この気力を養う方法は、いつもやっている『呼吸法』。  
 
 人生を生き抜くための武器はすべて与えてあります。  
 
 今まで学んだことは決して無駄にならないと信じています。 できるだけ早期に稽古が再開できることを祈りつつ‥。   
 
 合気道元徳会道場長 小谷達也
 
 
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2017年4月17日月曜日

空手道と合気道2

 ちなみに先ほどの倉本師範の言葉。


問:先生の技を見ていると演武のような打撃だけではなく、合気のような動きも多いですよね。

倉本師範:合気道の選手もうちの塾にやって来ますが、「パンチなどでガンガン攻められると合気道の技術は使えない」ということを言ってくる。であれば、「なぜ使えるようにするための工夫をしないんだ?」というのが僕の考え方。僕は「合気は使えるよ」と教えてやる。そして打撃の中でどう合気道の技を使うかを実際にやって見せてあげる。要はみなさんがそこの領域まで行けていないわけです。


問:確かに残念ながら合気道は実戦では使えないみたいなイメージは存在します。

倉本師範:実際は使えるんです。使えないというのは相手と触れ合うときの「入り口」が見つからないんですね。


 ‥とのことです。参考まで。


 最後に、中村師範の言葉。


 「その人に哲学がなければ、武道をやっていてもしょうがない」。


 「自分が武道修行をやったことによって、いかにして社会の発展に貢献できるかどうかが全てだ。社会に貢献できないのなら、一人で山の中で突き蹴りをやればいい」。


 「実技と理論を並行して学べ。実技の伴わない理論は空理空論であり、技術だけに走っても進歩は遅く、いたずらに苦労を重ねるだけである」。


 「理より入る者は、技より入るものより一日の長あり。その技法を会得して後、手足の鍛錬をなすべきである」。


 「社会生活の理想は平和であり、争いはあくまで避けなければならない。しかし、現実の社会生活には、まだ多くの争いまたは障害が伴っている。世には正義の仮面をかぶって心に邪悪の剣をとり、道理を無視する者が個人間にも、団体間にも、国際間にもあとを絶たないものだ。現代の現実にあって正義を貫くには、どんな障害にも打ち勝つ強固な意志と気迫、臨機応変の機敏と沈着を必要とする。これらの諸徳は、死生を越えて真剣の勝負を競う武道修行によって最もよく養われるのである」。


 「身を護れ。相手を攻めようと思ったら自ら隙が出て、敵に乗じられるのである。身を護っていれば、相手の隙が自然に見えてくるのである」。


 中村師範の哲学を総合的に解釈すると、結局のところ「鍛えた肉体と精神をもって、いかにこの世の進化向上に寄与できるか」を求めていたように思われます。


 私も社会生活に生かせない武道に価値はないと思います。


 たいへん勉強になります。ありがとうございました。


‥終わり



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2017年4月10日月曜日

空手道と合気道1

 ちょうど4年ほど前になりますか。
 平成25年1月、空手道拳道会の中村日出夫師範が亡くなられたそうです。享年98歳。


 もちろん面識はありませんが、お弟子さんが書かれた書物を通じて、その圧倒的な実力は以前から耳にしていました。


 その高弟であり、現拳道会会長である石山圭師範が度々マスコミに取り上げられますが、その話される内容はたいへん含蓄に富んでいて考えさせられます。弟子がこれだけの方ですから、やはり中村氏もすごい人なのでしょう。


 高弟で極真館館長である盧山初男氏は、その強さ(長生き?)の秘密の一端として、常に体を温めていたことにあると明かしています。


 具体的には、体を冷やさないように稽古中でも熱いほうじ茶を飲んでいたとか‥。


 もちろん酒席では、冷たいビールなどは嗜まれたようですが、そのほかでは、温かい物しか決して召し上がらなかったそうです。


 さて、この中村師範。
 空手の裏技として、合気道のような投げ技と関節技のようなものを得意技としていて、裏技ができて空手家として一人前とおっしゃっていたようです。


 高弟であり現極真館館長である盧山初男氏が初めて中村先生と立ち会った時には、この裏技でコテンパンにやられたようで、「何とかしてこの裏技を盗もう」としたけどなかなか難しい技だったらしく「そうもいかなかった‥」と自伝に書かれています。



私も合気道家として、この技を解明したく元高弟で現脩己會最高師範である倉本成春氏のビデオ映像を通じて研究したのですが、裏技の動画は少なくなかなか研究が進みませんでした。

<参考>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%89%E6%9C%AC%E6%88%90%E6%98%A5


 ちなみにこの倉本師範も本物です。


 若い頃の砂袋鍛錬のビデオを所有しているのですが、本当に手が見えない‥、そして一撃一撃がすさまじいばかりの威力‥、まさに「びっくり映像」です。


 ビデオが加工されているわけではありません。
 きっと初動が速すぎるのでしょう。


 さて話は変わりますが、中村師範の追悼記事の写真の中になんと「八光流」と文字の入った帯が‥。


 んっ、なんと裏技の正体は八光流柔術?だったのでしょうか。
 もちろん空手に合うように独自の工夫は加えられたと思いますが‥、少し驚きました。


 ‥つづく



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2016年7月4日月曜日

非切の太刀5(終わり)

‥前回からの続き


 武道において、人を投げたり、痛めたりするという段階も必要なのかもしれませんが、結局のところ、真の武道では、そのようなことは二の次です。


 真の武道とは、明鏡止水の境地を求め、無心で修練し心身を浄化することが目的です。


 結果、武道は、神道における「禊」と同じ概念になるのでしょう。


 ここが理解できて初めて、「最大の敵は自分自身の心‥」という意味が理解できることでしょう。


 道とは、常に正しい心の状態を求めるものですが、大事なことは、いったんこの正しい心の状態、「真の自然体」に至ったならば、「心がもともと持っていた働きを取り戻し、本来の活動を始めだす」ということです。


 これを私は、「魂の発動」と呼んでいます。


 どのような現象が起きるかと言いますと、「落ちる飛行機には乗ら(れ?)なくなる」、「ネズミ取り(警察の取り締まり)にはかからない」、「なんとなく振り返ったら事故から免れた」等々、テレビや雑誌で「奇跡」と紹介されているようなことが身の回りで起こり始めます。


 そして、自然体の人は決して騙すことはできませんので、「なんとなく怪しい人、危険!」と感じて、詐欺などには一切ひっかからなくなります。


 これは、心が持っている本来の機能であり、十悪が心の機能を発揮させなくしていただけです。非切りの太刀を習慣化することで、この機能が蘇ります。


 そして、この心の状態を維持し続けると、このようなことは日常茶飯事になり、当人にとっては奇跡なんかではなく当たり前のことに感じることでしょう。


 最後に‥、合気道界では、このような「邪心をはらい清めた精神状態」のことを『魂の比礼振り』(こんのひれぶり)と呼び、転じてこの精神状態から発する自己防御作用(魂の発動)のことも同様に“魂の比礼振り”と表現します。


 この“魂の比礼振り”は、剣でいうところの、一刀流の「夢想剣」や直心影流の極意である「直心」と同じものだと私は見ています。


 非切の太刀とは、心の非を斬る太刀、


 最後の敵はあくまで自分の心‥、日々是修業ですね(笑)


‥終わり


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2016年6月27日月曜日

非切の太刀4

 自分の心が「青空」状態になっていない場合は、下記1~3のいずれかが該当すると思われますので、その内容に応じて対処します。なお、1~2の解消法については、既に前述しました。


 1.生命エネルギーが不足(赤字)している場合
 2.ショッキングな出来事に遭遇した場合や燃え尽き症候群に陥った場合
 3.十悪により心が曇っている場合


 上記の「3」に該当する場合は、客観的に自分の心を観察し、十悪「我慢、過信、貪欲、怒り、恐れ、危み、疑い、迷い、侮り、慢心」が心を曇らせていないかを照らし合わせます。


 十悪が関係していると判断できれば、その原因を探り、自身の心を納得させる作業を行います。逐一コツコツと実践するのがコツなのですが、やりすぎると精神的に病む恐れがあるので、初めの頃は習慣(癖)にしていく程度の意識でやるのがよいと思います。


 次は、心を曇らす原因を作らないよう「何をするにおいても、そこに感情をはさまない訓練」をします。例えば、「あれやっといて‥」と言われた場合、素直に「はい」と行動に移し、一瞬も「面倒だな‥」とか「いいよなー、言うばっかりで‥」とは一切考えない(笑)工夫(修業)をする。これを「超作」と言います。


 そして、最終的には、敵を前にしても真っ新な心境で対峙できるか? 常に明鏡止水の境地で技が練れるか? そこのところを武道で練りに練ります。ここが武道の妙味だと思います。一番難しく、一番面白いところです。


 一度そこに至ったら、武を練りながら心を綺麗にするという作業が主になってくるので、武道は全て「練武洗心」が稽古の中心になるはずです。なお、ここに至った人が「道を歩む人」と言えます。


 そして、これが合気道が競技を行わない大きな理由の一つです。
 競技を行う武道、若しくはスポーツは、武道本来の目的である「明鏡止水の境地を目指すこと」や「見性悟道」など、最も大事なこの点が疎かになりやすく、また、勝ち負けにとらわれすぎるなど、さらに業(ごう)を増やす結果になりがちなので注意が必要です。


 これは競技武道がダメというわけではなく、要は塩梅の問題です。


 また、競技を行わない武道がよいというわけでもなく、この場合も現実から乖離していくなど問題も多々あるようです。


 ‥つづく(次回で終了)




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2016年6月20日月曜日

非切の太刀3

 今回は、少し脱線します。


 結局、不遇な時期の原因とは、①「運気のバイオリズムによるもの」と②「自分の蒔いた種が実を着けたもの」の2種類に分かれます。


 この両者、実は時期がよく重なります。
 このため、辛い試練の時期になりがちです。


 ①の場合は、それぞれのバイオリズムを理解し、それぞれの運気に応じて対応すべきです。これは、合気道の体捌きに通じるものがありますよね。これが本当の意味の活人剣ですので、心も身体も居着かないよう対応しましょう。


 やっかいなのが②の「自分の蒔いた種が実を着けたもの」の場合です。
 結局、自分で蒔いた種は、自分で刈り取らねばならないのがこの世界の法則です。


 苦悩や煩悶とは、「すべてその人の過去から現在までにいたる行為・思い・想念・感情などが悪因となり、ある時期に機が熟して現象化するときに生じる苦しみ」のことです。


 ちなみに般若心経の一つの解釈として、人間は観自在な菩薩である存在であり、その人の想いというものは、基本的に現象化する力を持っていると話される方もいらっしゃいます。


 具体的には、善い想いを描けば、善いことが現象化し、悪い想いを描けば、悪いことを現象化させる力を持った存在だということ。また、見方を変えれば、この世には、このような法則性があるということ‥、結局、その人の想いが人生を形づくるということです。


 しかし、それがいかに辛いことであれ、「自分の蒔いた悪因がいったん現象化すれば、その悪因は全て消え去った」ものと理解、そして確信し、決してマイナスに受け取らずに、「消え去ったならば必ずこれからよくなっていく!」、これを信念化して人生を歩んでほしいと思います。


 そして、「二度とその悪因を掴まない」こと、
 これがとても重要です。


 具体的には、悪いことが現象化してしまったら、「あぁ(汗)、私が以前、悪因となる悪い想いを発したためにこのようなことが起こってしまった‥。しかし、いったん起こってしまったのであれば、その悪因が消えたも同然。もう気にしないぞ! これからは絶対に良くなる」と『善い想いを発することが大事』です。


 しかし実際は、その逆をやりがちですよね。
 例えば、「あぁ(汗)、私が以前、悪因となる悪い想いを発したためにこのようなことが起こってしまった‥。私の人生悪いことだらけ、きっとこれからも悪いことが続くのだろう。自分は何も悪いことをしていないのに‥。それもこれも、あの人達のせいだ‥」等々‥、


 これがさらに悪因をつくった状態です。
 また、昔の悪因を再び掴んだ状態とも言えます。


 これをやると再び悪因を蒔き散らすことになりますので、絶対にやるべきではありません。


 悪いことが起こったら、「これも私が発した悪い想いが現象化してしまったのだな‥(反省)、しかし、いったん現象化したら、その悪因が消え去ったも同然。これからは絶対に善くなる!」と善い想いを発するよう心掛けましょう。


‥つづく




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2016年6月13日月曜日

非切の太刀2

 心法の稽古について説明します。


 まずは、心というものは、「晴れ晴れとしているのが『本来の姿』」だと理解することが肝心です。


 次に自分の心について、感情を交えずに客観的に観察し、「心が青空」状態になっていない場合は、下記1~3のいずれかが該当すると思われますので、その内容に応じて対処します。


 1.生命エネルギーが不足(赤字)している場合
 2.ショッキングな出来事に遭遇した場合や燃え尽き症候群に陥った場合
 3.十悪「我慢、過信、貪欲、怒り、恐れ、危み、疑い、迷い、侮り、慢心」により心が曇っている場合


 1の生命エネルギー(気)の不足が原因の場合は、呼吸法や気功法などにより赤字分のエネルギーを補いましょう。また、栄養価の高い食品を摂取し、積極的に休養するよう努めましょう。


 呼吸法や気功法の本質は、いわゆる「気の赤字」を黒字化するためのものです。長期休暇を取る場合によく「充電する」と表現したりしますが、見える人から見ると本当に生命エネルギーを充電しています。なお、呼吸法や気功法の詳細については、別の機会に譲ります。


 2のショッキングな出来事に遭遇した場合、燃え尽き症候群に陥った場合などに一種の虚脱状態になる場合があります。よく「心にポッカリ穴が‥」がというのがこのことです。失恋もこの類に該当します。


 これは、体を動かす大本である意識体が活動をほぼ休止している状態のことです。自身の心を納得させるための作業「心の切り替え」が必要なので、症状にもよりますが一定の時間が必要な場合が多いようです。


 このような場合、一見「根性がない」、「甘えている」と言う風に見えてしまいがちですので、活動できない状況にある者に対し、結果的に無理強いさせる結果になり、余計ややこしくしている感がありますので注意が必要です。歯がゆいですけど、周囲の人は大らかに接し、本人自体は、多少開き直る必要があるようです。


 このような期間は、旅行に行く、いろんな映画を観る、様々な本を読み漁る等々、「気分一新」に努めるべき時期です。その場合に信じてほしいのが、この期間は、とても辛い時期ですが、「少しずつ成長している期間」でもあるということ。具体的には「自我が少なくなりつつある時期」であること。なお、特別な場合を除き、身体を動かす元となる意識体が気分一新しさえすれば自然と活動を始めるようです。


 また、いわゆる「立ち直りが早い人」とは、自身の心を納得させる切り替え作業が速い人のことですが、立ち直りが遅い人でも経験を積み重ねることでこれが可能になります。


 若い方は悩んでいる時間がありますので、臆病にならず、積極的に棘の多い門松を何度もくぐり、さらにはたくさん赤っ恥をかき(笑)、思いっきり失敗しときましょう。


 徐々に立ち直り方が速くなりますので将来きっと得しますよ(笑)



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2016年6月6日月曜日

非切の太刀1

 梅雨入りに伴い、少し蒸し暑くなりましたね‥。


 この暑さで、稽古のモチベーションが下がっていらっしゃる方はいませんか?


 また、新年度の気疲れで気分が盛り上がらない方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 そのような方には、特に道場に通わなくても日常生活でできる「心法の稽古」をオススメします。武道とは、何も道場で体を動かすだけが能ではありません。


 今回は、一番重要だと思う「非切(ひきり)の太刀」を紹介します。


 これは、鹿島神傳直心影流五代目の神谷伝心斎(直光)が晩年、剣術について、「これまでの全ての試合は外道であった。己を捨て、直心で行い、邪心を絶たねば自然に悖る」と考え、極意を得るための稽古法として伝えたものだと言われています。


 さて、この非切の太刀とは“切るに非ずの太刀”ではなく、“自分の非を切り捨てる太刀”のことで、具体的には、心を乱す己の邪心(非)である「十悪」を切り捨てていく作業のこと。なお、この場合の十悪とは、仏教の十悪(殺生、偸盗、邪淫‥)とは異なります。


 この場合の十悪は、「我慢、過信、貪欲、怒り、恐れ、危み、疑い、迷い、侮り、慢心」のことであり、いわゆる邪念・邪心・妄念といった心が乱れる原因を指します。


 武道的に言えば「心が居着いた十の状態」のこと。


 これらは全て心を曇らすものであり、“心が本来持っている機能を発揮できない状態”、または“心のありがたさを失わせるもの”だと言えます。


 武道や禅の世界で言うところの「無念夢想」、「明鏡止水」、「三昧の境地」等とは、これら十悪を全て掃(祓)い清めた状態のことであり、また、私は直心影流の極意「直心」についても上記と同じ意味だと見ています。


 なお、私はこの状態を“心が青空”と表現し、「常に心が青空のように澄み切った状態を維持する」ことを心掛けるように指導していますが、嬉しいことに子供達もけっこう理解してくれているような気がします。


 「稽古とて ほかに求むる道もなし 心の塵をはらうばかりぞ」
 (示現流開祖 東郷重位が師から教わったという歌)



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2016年5月23日月曜日

直心是道場

 「直心是道場」という言葉が、維摩経というお経の一節にあります。


 修業の場を求めている童子から「どこか素晴らしい道場はないでしょうか?」という質問を受けた維摩居士が、「道場というものは外に求める必要はありません。直心是道場ですからね」と諭した内容からきたものです。


 「直心」とは、「正直で素直な心」また「自然な心」のこと。


 この直心さえ見失わなければ、場所など関係ないという意味でしょう。


 さて、その直心を理想とした「直心影流」という古流剣術があります。


 もう随分前ですが、剣道の先生からこの直心影流の形の一つである「法定」という一見単純で、無骨で華やかさなどは微塵もない4本の組形を学んだことがあります。


 この先生は、いつも一人でウンウン唸りながら太い木刀を使用して20分程度形を行っていたため、始めは一人で行う素振り用の形だろうと思っていましたが、何故か強く惹かれるものを感じていました。


 ‥この先生は、きっと打ち合う相手が欲しかったのでしょう。


 「面白いものではないよ」、「どうせ続かないと思うよ…」 などといいながらも懇切丁寧に教えていただきました(笑)


 確かに若い時の私には、何がなんだか・・・よく分かりませんでしたが、「教えてください」と言ってしまった手前、この先生が異動になるまで相手をさせられた思い出があります(笑)


 ただ最近、この形の素晴らしさがようやくわかり始めました。


 「もっと真剣に学んでおけばよかった…。」というのが正直な気持ちです。


 門外漢ながら、最近この「法定」の形は、直心影流剣術哲学の集大成ではないかと思いはじめています。


 その剣道の先生も「この形を真に体得できればいいんだ」とか、「この形さえできれば人生で行き詰まることはないのだが‥」などとつぶやかれていました。


 私も当時の先生の年齢に近づき、ようやく真の意味が分かってきました。


 単純な「八相発破」、「一刀両断」、「右転左転」、「長短一味」という4本の形なのですが、求めるものは剣の技術だけではありません。


 「八相発破」は、機先を制することを主眼とした形。


 「一刀両断」は、捨て身、刺し違える気持ちを練る。


 「右転左転」は、臨機応変さを学ぶ。


 「長短一味」は、即今只今ここで死ぬことを求める形です。


 また、「八相発破」は春、「一刀両断」は夏、「右転左転」は秋、「長短一味」は冬という風にも表現されています。


 結局のところ、


 「問題が起こる前に対処する」

 「欲を捨て去る」

 「自分が変わらないために変化していく」

 「そして悟ること」


 この四つを真に修練しておけば「人生途上で行き詰まることはない」ということだと思います。


 表現は私風ですが、以上のことを学ぶためにウンウン言いながら、丹田に力をこめて行います。


 もちろん剣の技術も学ぶのですが、主眼は別のところにある・・・。


 日本武道は、やはり奥が深いものですね。



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