宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

2019年8月25日日曜日

武道哲学の実践

 先日、武道の大先輩であり、剣道七段のHさんが訪ねてこられました。


 訪問の意図は、「ブログの文章を使用させてほしい‥」という内容で、なんでも今年度卒業する方々に送る文書(手紙?)に使用したいとのことでした。


 どのブログの文章か確認したところ、以前、当道場を卒業し、九州大学へ進学したK君のために書いたものでした。


 もちろん快諾! 


 「ぜひ、ご活用ください」とお伝えしました。


 正直、嬉しいです。


 当会の合気道は、道場で稽古するだけのものではありません。


 道場で武道の原理原則を学び、社会で実践する‥、実践と言っても実際に闘い争うのではなく、武の道そのものを生活上で実践し、社会に貢献していくことが目標です。


 私は合気道の先輩方より、「武道は社会に活かしてこそ意味がある」、「人を倒すことにどれだけの意味があるのか」等々、血気盛んな時期に哲学的な教えを受けてきました。


 私は武道というものは、道場で人を投げたり、叩いたりすることだけに意味があるとは思っていません。社会に出た時に生き抜くためのツールでもあってほしいと願っています。


 こういった意味では、道場に通わなくても、武道哲学を一通り学び社会で実践することで、一人前の武道家となることも可能だと考えています。 


 下記がその文章です。よろしければご一読ください。



※合気道元徳会ブログ「合気の舞」より
【卒業おめでとう!】
https://gentokukai.blogspot.com/2016/03/blog-post_31.html



 久しぶりに清々しい気分を味わうことが出来ました。


 Hさん、ありがとうございました。



【リンク】
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2019年7月28日日曜日

金八先生と合気道

 俳優の武田鉄也さんが合気道を学ばれていることは、以前から噂で耳にしていましたが、始めた原因が鬱に苦しんだことだったとは知りませんでした。


 65歳から始められて現在は二段とのこと、本人の努力もさることながら、きっと合気道の魅力や哲学に魅せられたからなのだと思います。


 合気道は、真に生きる糧になりえるものだと思います。



【インタビューからの抜粋】
 61歳の時に心臓に欠陥が見つかって、ちょっと大きい手術で人工弁を入れたんです。その頃はモチベーションというか、やる気がどんどん下がっていってね。ウツっぽくなって、気持ちが常に落ち込むようになってしまったんですよ。


 若い頃は夜中に目が覚めてもすぐ寝られたんですけど、年を取るとそこから眠れなくなるんですよね。その時に暗いことばっかり考えるんです。それで精神的にもだいぶ弱ってきて、何かしないとまずいなぁと思いましてね。


 実際に道場の門を叩いたのは2014年7月です。でも50代の頃から合気道には興味があった。フランス哲学者で合気道の達人でもある内田樹さんが好きでよく本を読んでいたんですけど、合気道についてのくだりになると途端に訳が分かんなくなる。この人は一体何が言いたいんだろう、どうしてこんな考え方ができるんだろうとずっと謎に思っていたんです。


 そこで鬱ウツとした気持ちも吹き飛ばしたいし、「よし、道場へ行ってみるか」という気になりましてね。実際に道場へ足を踏み入れると、みるみる引き込まれた。ハッと気が付いたら5年も経っていました…。

 
【参考】


 …とのこと。


 きっと楽しいんだと思います。よく分かります。

 私も様々な失敗を体験したことで心と身体に不調をきたし合気道を学び始めました。


 私の周囲にも、そのような方がたくさんいます。


 合気道の呼吸法で生命エネルギーを十分に取りこめば、心が満たされて同時に幸福感を味わえる…。この繰り返しで、薄紙をはいでいくペースですが、確実に少しずつ「心が青空」になっていくことが実感できるものです。


 私もそうでしたし、周囲の者もそう感じているようです。


 人生の壁にぶち当たり、また、様々な事情から心身に不調をきたしている方がいらっしゃれば、ぜひ、合気道を学んでみてください。


 きっと何某かのよい影響を受けることができると思いますよ。



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2019年5月1日水曜日

平成から令和へ

 平成から令和の時代へ。

 平成に引き続き、令和も宮崎合気道会グループをよろしくお願いいたします。 

On May 1st, we have a new emperor.


At the same time, the Era name changes from heisei to Reiwa.




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2019年3月30日土曜日

Out of the World 武道は世界を駆けめぐる(岡本洋子師範著)

 世界的な合気道家である合気道京都代表の岡本洋子師範の書籍「Out of the World 武道は世界を駆けめぐる」が発売されました。





 岡本先生とは特に面識はありませんでしたが、数年前の全日本合気道演武大会でたまたま席が近くになったことがありました。その時に「小説の剣客商売の佐々木美冬さんが現実にいたら、きっとこんな風貌では…」と思い、また、「外国人が想像で心に描くサムライ的な女性(笑)の第一人者」という感じでとても印象深く、その後、動画等で先生の活動を興味深く拝見させていただいていました。


 細身でスラっとした体形で手足が長く、しかもシュッとしたスタイルのため演武が映える師範です。私のような日本ネイティブな柴犬体形とは全く異なります。うらやましい…(笑)


 さて、それはさておき岡本先生は、曹洞宗のお寺の生まれで、22歳での春に合気道に出会い、合気会本部で修業されてきたそうです。また、ご主人が大学で教鞭をとられる方で、やはり合気道家のクリスさん、そして二人の子供(長男、次男)を伴って、米国のオレゴン州のポートランドに移住、子育てしながら合気道を続けられたそうです。凄い!! 本人の努力ももちろんですが、きっと合気道に理解のある家族なのでしょうね。


 ちなみに、移住先のポートランドで自分が稽古を続けたいがためにポートランド合気会を設立。その後、帰国する2003年まで道場長を務められたそうです。


 その後、フランスのパリでクリスチャン・ティシェ師範に師事。日本に帰国後、京都の西陣に合気道京都を設立し、現在に至るそうです。なお、(公財)合気会七段です。







 第4章では、合気道との出合いの地である合気道本部道場での稽古づけの日々と、現在の拠点である合気道京都(西陣道場)の成立過程や活動を紹介するとともに、「稽古法」と「指導法」についての特別インタビューが収録されています。


 そして巻末には用語解説と技の連続写真を掲載されており、合気道家だけでなく合気道を知らない方にも読んでいただけるようになっています。


 特に印象に残ったのが武道に対する思い、 

 「私たちは、伝統の中で培われてきた武道という『より完成された人間になるための、生きる道』を世界に向けて発信し続けている。

 バレエで頂点を目指す日本の若者達がローゼンヌやパリのオペラ座を夢見てきたように、世界の合気道家たちは「AIKIDO」の祖国、日本を目指し夢を見る。日常の暴力が絶えない国で育った若者が、平和の武道、合気道に出会い「いつか自分の国をそうするんだ」という誓いのもとに地球の裏側からやってくる 。

 そんな彼らの熱い思いを、私たち日本の武道家はしっかりと受け止めなければいけない。日本古来の伝統という価値観念の上に胡坐をかいているだけでは「BUDO」は世界に根付いてはいかない。日常生活の中に実践的な武道の精神を取り入れ夜会に貢献し実践することに21世紀の武道家は真剣に向かい合うべきだと思う。

 杓底一残水、汲流千億人

 柄杓の底に残された一滴の水でも、清流に返してやればやがて多くの人の喉を潤す。一人一人がひとりが毎日の稽古に徹し、自分自身の中に平和を築いていけば世界中の人々が平和になる。気の遠くなるような希望だが、それが開祖植芝盛平船先生の合気への思いであったのではないか、と私は思う。」



 同感です。
 私もその一助となれるよう努めます。



 以下は書籍の内容です。
 よろしければご一読を…。





【Out of the World 武道は世界を駆けめぐる】

 「木版を叩く音が道場内に響きわたり、稽古が始まる。


 地球上のどこにいてもまったく同じ気持ちになる瞬間である。正面に礼をすると、阿吽の呼吸で木綿の稽古着と袴が擦れ合い、道場生たちが揃って礼をする所作で空気が振動する。
「お願いします!」

 さあ、今日もいい稽古をしよう! 」(本文より)


 本書は、世界で活躍する合気道家、岡本洋子がその活動をとおし、文化とは何か、武道とは何かを見つめなおした初の著作である。



第1章 トーゴ ヒエトロ
 遠く離れた日本の武道を日々稽古する少年たちに出会ったトーゴ--ヒエトロ


第2章 アメリカ ポートランド
 家族で移住し、初めて道場を開くことになったアメリカ--ポートランド


第3章 フランス パリ
 師と出会い、仲間を得た武道大国フランス--パリ


第4章 日本 東京・京都
 多くの国と地域で、文字通りじかにそこに住む人に触れ、関係をつないだ経験を振り返りながら、各国の人々が日本文化や武道に何を求め、それぞれの現実の中で、どのように武道を社会に還元しようとしているのか、その固有性、類似性を探り、武道を通した人間探求の道を描く。
 

 「先生、僕たちはなんで合気道をするんですか?」
 トーゴの小さな村で合気道をする少年の問いに、はたして著者はなんと答えたのか?
 本書を通し、著者の強さと美しさに通底する合気道と人への思いが明らかになるとともに、私たちはそこにさらなる進化と深化を見ることだろう!


著者について

岡本洋子(おかもと・ようこ)

1978年、公益財団法人合気会、合気道本部道場に入会、合気道の稽古を始める。79年渡仏。サークル・ティシエにて稽古を続け、81年に帰国。その後8年間本部道場で稽古を重ねる。

1989年渡米、オレゴン州ポートランドにポートランド合気会を設立し、2003年の帰国まで道場長をつとめる。

同年、合気道京都を設立。現在は京都を中心に、海外での講習会なども指導しながら、一稽古人として合気道探求中。合気道七段。




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2019年1月27日日曜日

【新版】合気習得への道―佐川幸義先生に就いた二十年

 「【新版】合気習得への道―佐川幸義先生に就いた二十年」が発売されました。
 
 
 旧版は持っていますが、重要な「合気について」の章が改稿されたと聞き早速注文!。
 
 
 なお、旧版との違いは、以下の通りです。
 
 
①「合気について」を改稿
 
②新章追加
 
③佐川氏語録を追加
 
④未公開を含む写真50枚追加
 
 


 合気道家にとって、なにか鼻につく文章が残念なのはあい変わらず(笑)ですが、そんなことより最も気になっていたのは以下の点‥。
 

 旧版では、合気について、「合気とは、人体の防御システムのスイッチを切る技術」と書かれていましたが、この点がどう改稿されたのか‥、ということ。


 結論から言うと、このことについて特に否定はしていませんが、「この点にこだわるのもいかがなものか‥」というスタンスの変化があったようです。‥あとは特に重要な変更点はなし。


 それから、津本陽氏の「深淵の色は‥佐川幸義伝」の書評でも書きましたが、易について随分とページを割いて書かれています。しかし、受け取り方によっては誤解を招きそうです。


 私も易については随分と学んできましたので、さほど気になりませんでしたが、このような世界にアレルギーのある方は、不快に思うかもしれません‥。きっと編集者も悩んだのではないでしょうか。


 ちなみに勉強になるよい写真がより多く掲載されています。
 

 最後に、「合気とは大自然との調和である」というのが結論‥。この点だけで言えば、合気道も大東流も到達点は同じであるとということだと思います。


 結局のところ、日本武道の神髄は、「大自然との調和」なのでしょう。


〇以下は参考です。


カラー口絵 佐川幸義先生演武写真


第一章 佐川幸義先生演武写真集


第二章 数学の研究と合気修得に明け暮れた日々 


第三章 大東流合気武術 佐川幸義先生 


第四章 佐川先生の顕彰碑と津本陽氏の遺作 『深淵の色は 佐川幸義伝』


第五章 合気について


第六章 佐川幸義先生の修行時代―― 実弟・佐川廣氏談


第七章 佐川幸義先生 語録 


第八章 思い出アルバム
佐川先生のご家族 / 在りし日の佐川先生 / 佐川先生と共に



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2019年1月7日月曜日

稽古は合気(剣道時代平成31年2月号)

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 
 
 さて先日、フラッと立ち寄った本屋で「稽古は合気(剣道時代平成31年2月号)」の文字を発見! 早速購入しました。
 
 


 
 合気とは、合気道で全世界に有名になりましたが、元々は剣術用語です。
 
 
 このようなことから、剣道における合気について、様々な剣道家の方に直接伺ってきましたが、現在まで腑に落ちる答えをいただくことができませんでした。
 
 
 また、合気について論じた書籍・文章は少なく、研究家としては資料不足に悩まされてきました。
 
 
 しかし今回のこの特集で、高名な剣道家の林邦夫範士範氏八段ほか多数の先生の解説が掲載されており、たいへん勉強になりました。
 
 
 さて、詳細は省きますが、林先生によると、
 
①合気とは相手と気を合わせること。
 
②相手と自身の間合いにおける感覚的な技術
 
③※相手と気を合わせ一つになる技、さらに相手の力に合わせる術
 
 
 ‥と表現されています。
 
 
 また、林先生は、「合気の必要性を感じたのは、40歳代後半の八段審査を受信する頃」のようで、結局、正しい基本と理合が身につき、それから一つ上の剣道を目指すために必要な心的技術と理解されているようです。
 
 
 そして重要なのが、「合気の稽古は、見事に打つことができますが、見事に打たれることもあります。理合を知っている剣士には有効でありますが、理合いを知らない剣士には通用しないのです」との言葉‥。
 
 
  そこで、新陰流の理合「活人剣」と「殺人刀」を応用し、理合を知っている者には「活人剣」で、理合を知らない者には「殺人刀」で対応するようにしたとのこと。
 
 
 結局のところ、合気になる者には「活人剣」で、合気にならない者には「殺人刀」を応用したのでしょう。
 
 
 剣道では、相手の気の動き「気の方向性」を感じ、そこから打突の機会を見出すものですが、その機会を見出すタイミングを計るため、合気、つまり気を合わせます。このような理合では、確かに上記の戦法が有効になることでしょう。剣道の世界ではそうなると思います。
 
 
 しかし、体術の理合ではイメージしにくい‥。
 
 
 ただ、合気道、大東流の合気も「相手と気を合わせること」に変わりはありませんし、合気道開祖植芝盛平先生や大東流の佐川幸義師範なども同様のことを話されている。出発点は同じはずです。
 
 
 結局、剣術と体術では異なりますが、この剣術の合気をさらに深めたものが、合気道や大東流の合気だと思います。
 
 
 ‥年始早々、よい研究資料が手に入りました。
 
 
 ありがたい‥。
 
 
 興味のある方はぜひお早めにご購入ください。
 



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