さて、ここでAさんがBさんに勝利する二つ目の考え方がでてきます。
それは、Aさんが“戦闘力100”を保ったまま、Bさんの“戦闘力100”を、なんらかの技術を用いて、“戦闘力50”に落とすなど、戦闘力を減少させてしまう勝ち方です。
これでAさんの戦闘力がBさんを上回り、戦いに勝利することが出来ます。
私は、この相手の「戦闘力を減少させる技術」が、日本武道における兵法の根底になったものだとみています。
何か小難しく書いてしまいましたが、そんなことはありません。
私たちの合気道や柔道などで用いる「崩し」と呼ばれる技術が一つの例として挙げられますす。
この「崩し」にも、実は“物理的な崩し”と“空間的な崩し”が存在し、その「空間的な崩し」には心術が用いられます。
“物理的な崩し”とは、合宿などで説明している「ドラムカンの理」と呼んでいるものが代表されると思います。
これは、「B地点からC地点にドラムカンを移動させたい場合にどうするか」を考えると理解しやすいため、例えとして「ドラムカンの理」と表現しています。
さて、この場合、ほとんどの人はドラムカンの側面を押して斜めにし、地面に接地する部位の面積を減少させることでドラムカンを体感的に軽くし、底面の縁をコロコロとさせながらC地点まで移動させると思います。
これが「ドラムカンの理」。
この理を武術に応用すると、相手に接触した瞬間に、相手の重心をつま先か踵に一瞬で移動させ、相手が 「つま先立ち」 もしくは「浮いた」 状況をつくりだすと相手は一瞬ですが、物理的にも精神的にも居着いた状態になります。
私はこれを「物質化する」とか「モノ化する」と呼んでいますが、この状態になると思考回路は一瞬だけ寸断され、かつ身体は硬直化します。
この時を逃さずに、斬ったり、突いたり、投げたり、倒したりするのが基盤となり構成されているのが“物理的な崩し”を用いた戦闘法です。
なぜ、思考回路が一瞬寸断され、かつ身体が硬直化するのでしょうか?
私には科学的な説明はできないのですが、人間が何かにつまずいて転ぶ瞬間というものは、急激に身体を支える重心がなくなることで、身体機能が一瞬機能しなくなるのではないかと考えています。
また、「溺れるものは藁をも掴む」にありますように、身体機能が一瞬パニックを起こすと言う風にも考えられます。
例えは違いますが、人によっては、実際に掴んでいる手がくっついたまま離れなくなることもありますね。
‥つづく
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