「何でも教わろうというような弱い精神では教わっても覚えきれなくなって忘れてしまうのだ。自分で開拓しようという気概に満ちている人が、教わったことを生かせるようになる。心構えが違うのだ。」
大東流合気柔術の佐川幸義師範の伝記「深淵の色は 佐川幸義伝」(実業之日本社)が発売されました。
作者は津本陽氏。
大東流関係の著作は、「鬼の冠」、「孤塁の名人」に続き三冊目だと思います。いずれの作品も佐川幸義師範の神技を伝える貴重な資料となっています。
今回の作品は、師範の人となりやご家族のことなどの私生活に一歩踏み込み、そして師範没後の道場のことなども書かれていることから、とても興味深く楽しめました。
その中でも驚いたのが最終章の「秘密の世界」。
「先生の蔵書は優に一万冊を超える。武術書以外に特に目立ったのが大量の易の本だった」とあり、佐川師範と易に関することが書かれています。
師範は易をかなり深いところまで学ばれていたようです。
私が以前から、「武術を学ぶ者は易学を学ぶべきだ。」、「柳生家や山岡鉄舟先生などの影響から武道家が禅を学ぶべきとの話がある。これはこれでもっともなことではあるが、古今東西の伝書をひも解くと易を学んだ武道家のほうが多いと思う…」と話をしたら、「えっ占いをすすめるのですか?」と怪訝な顔をされることが多かったものです。
実はタイ捨流も、易を学ばないと伝書の意味さえ理解できないことになっている。
確かに禅も日本武道に多々影響を与えており、とても有益だと思いますが、同時に易もたいへん有益であると私は考えています。
なぜ現実主義者の武道家が易に惹かれるのでしょうか?
ここについてはあえて記しません。
ぜひご自身で理解してほしいと思います。
しかし、佐川師範が相当深く研究されていたと思うと、この世界の権威者から同意を得られた気がして嬉しくなりました。
この書籍は、武道家や合気研究者にはおススメです。
さて、読書の秋ですね。
心に残る良い本をじっくり吟味し、ゆっくりと読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【本の内容】
神技の深淵へ。大東流合気武術を極めた天才武術家の生涯と弟子たちが見た素顔―武道小説の第一人者・津本陽、渾身の遺作。人生を切りひらく達人の教え。
私は先生の謎のような生涯をふたたび探り、
合気の神髄を探る作業を試みることにした。
誰も見たことのない深淵の色を語るように、
佐川先生の合気を語ることがどこまでできるだろうか?
(本文より)
合気の神髄を探る作業を試みることにした。
誰も見たことのない深淵の色を語るように、
佐川先生の合気を語ることがどこまでできるだろうか?
(本文より)
津本陽が迫る合気の神髄、武術の極み。
【目次】
第一章 ちいさな閃(ひらめ)き
第二章 疾風の打ちこみ
第三章 ふしぎな機縁
第四章 師弟のつながり
第五章 言葉のない会話
第六章 理と気
第七章 佐川合気活法の神髄
第八章 武田惣角先生の足跡
第九章 先生の息子さん
第十章 秘密の世界
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