私が大事にしている呼吸法の一つに「易筋経」があります。
はじめは中国拳法を学んでいた先輩から教わりましたが、その後は、興味にまかせて様々な流派を独自に研究してきました。
この易筋経(えききんきょう)は、達磨によってインドからもたらされたと伝えられる健康法ですが、ゆっくりとした腹式呼吸による深呼吸と、それに合わせて行う運動により、筋肉と内臓を鍛錬し、体調をより良く整える効能があると言われています。
また、少林寺の僧侶が健身のために武術を修練して質を高め、最終的に武術の鍛錬方法として到達し、清代には、易筋経を手に入れるため、武術の各流派は互いに戦って殺しあったとか‥。
健康法としての効能は、筋力の増強、内臓の強化、心肺機能の強化、神経系統の安定、更には、姿勢が良くなる、血流がスムーズに、集中力が高まる、運動競技力の向等々、様々な効果があると言われています。
それはさておき、「本物の武術気功を体感できる」との表題で以下の文がありましたので参考までに紹介します。
「若かりし頃(二十歳くらい)、たまたま本書を手にして序文の気功に関する文章にすっかり陶酔し、本書に記されている易筋経、十二段錦などを日々実践した。当時まだ学生で暇だったので、鍛えているうちにすっかりブルース・リーのような体つき・性格になったのを覚えています。
易筋経は、主に体を鍛えるための体操で、ボディビルダーのようなスピードの遅い”重たい”筋肉を作るのではなく、カンフーのようにスピードと”気”が入ったパンチを出せるようになります。また、格闘技やスポーツ、力仕事の時に効率的な体の動きが無意識に出来るようになります。気が満ちて喧嘩っ早い性格になってしまうので、一般のサラリーマンのような方がフィットネス気分でやる場合には、ハマリ過ぎないように気をつけた方がいいでしょう。鬱っぽい人や慢性疲労で悩んでいる人は、少し易筋経でリフレッシュすれば、気分がサッパリして気が充実し、若々しい気分を取り戻せます。
いずれにしても、この本の内容のエクササイズが、日本国内で一般向けに伝えられている、ただゆっくり動いて呼吸したりする気功とは決定的に違うところは、”呼吸圧迫”を利用して気を押し流して鍛錬することかと思います。格闘技や武術に詳しくないので、その方面で当たり前の術なのかどうかは知りませんが、一般の方がこの本の易筋経の鍛錬などをはじめたら、本当にすぐにうつ病など吹っ飛んでしまうのではないかと思うような精悍な精神とキレのある体を得ることが出来るように思えます」。
「この易筋経によりかなり体が鍛えられていたときには、何かにぶつかったり、尖ったものが肌に刺さったりしても、痛みが『痛い!』という感覚ではなく、単なる強い刺激が来た!という感覚に変わり、痛くないのです。単なる刺激なので、痛みが尾を引きません。また、ケガで出血してかさぶたになっても、子供の頃のように傷口の治りが早かったのを覚えています。
この辺りは、気骨の無い平凡な現代青年でも易筋経で鍛錬するだけでここまで肉体と精神をきたえることが出来てしまうというのは、まさに少林寺最高峰の秘伝の鍛錬法なのではないかと思っています。
そして、この本で紹介されている易筋経は、著者自身もかなりの中国武術の達人ですし、本格的に鍛えればかなりの域に達することができそうですので、少林寺秘伝の本物の方法に近いのではないかと思っています」
‥まぁ、「少し大げさ」かもしれませんが、大枠ではそのとおりだと思います。
次に気功導引法という書物に易筋経についての説明がありますので抜粋して紹介します。
ちなみにこの本は中古で現在28,000円(amazon)‥、凄いですね。
気功導引法より
「易筋経は、少林拳のような外家拳法の気功を開拓するのに最も効果的な気功法である。易筋経を日課として一年間も続けると、力を出す時に思わず気が局部に集結されて気功の威力を発揮することができるようになる。
また、万病不可侵の体になるだけではなく均整のとれた体格を作り上げてくれる。易筋経で鍛え上げた筋肉は、美容のためだけではなく格闘技で迅速な動作と強力なパンチを約束してくれる。
易筋経は、筋肉・骨格を改善する気功体操として発育盛りの青少年にとって最も貴重な健身術である。青少年が易筋経を日課として半年も続けると歩く時に肩で風を切り、ズボンの裾が風を巻き起こすような感じを人に与える。虚弱な児童が易筋経を日課として一年も続けるとすっかり丈夫な体質に生まれ変わってくる。
中年になってから易筋経の練習を始めると女性は『まだまだ若い』と体で感じてくるし、男性は倦怠感がすっかり消え失せて鬱病と全く縁のない体質になってしまう。
しかも易筋経の十二種類の動作は七分間で全部が終わるし、動作が非常に簡単で本書の図解写真を見て誰でもすぐ習得できるうえ、練習する場所はタタミ一枚の面積で足りるので、特に高く評価をしたいものである」
「足腰がだるい、肩に力がない、元気がない時に易筋経を一通り行うとすぐさま元気いっぱいの様相になってくる。
中年に入って常に倦怠感を感じる人が易筋経を日課として一ヶ月も続けるとすっかり元気になり、三ヶ月も続けると若返ったことを体で感じてくる。
治りにくいと言われている鬱病を治すのに易筋経は最も優れた効果を持つ。
虚弱な感じを他人に与える青少年が易筋経を一年ぐらい日課として続けると、骨格・筋肉と目の光がすっかり変わってくる。特に力が強くなることに本人も友人たちも驚くものである。
長年易筋経に親しんでいると易筋経は全身に気を張りめぐらすために巧妙に設計された気功法だと感じてくる。
仕事をしても運動をしても勉強をしてもすぐに疲れる人は、気力がない人である。易筋経はこのような人を立ち上がらせるために設計されたことを強調したい‥」
実際に“基本どおり”にきっちり行えば、力がみなぎってくる感じが生じ、活力を生じる呼吸法です。
どんなに疲れていても、早朝に易筋経を行うと「よし! やるか!」という気になるから不思議なものです。
また、この呼吸法を続けると、筋肉がゴムになって、グニグニ引き延ばしたり縮めたりしているような感覚が生じます。これも不思議ですね。
ただの呼吸法ではなく、しかも筋トレでもない、「筋・腱伸ばし呼吸法」という表現が適当なのかもしれません。
最後に‥、気功法や呼吸法の共通点として、我流ではなく「正しく正確に行うことが必要」です。
そうでないとただの呼吸と同じで、ひどい場合には、逆効果で悪影響が生じます。
正しい方法をキッチリ学びましょう。
正しい効果は、正しい方法からしか生じません。
この呼吸法は財産です。
しっかり身につけて離さないようにしましょう。
【リンク】
◇宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」
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◇合気道元徳会ブログ「合気の舞」
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◇合気道元徳会道場長コラム「サムライハート」
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