宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

2016年10月17日月曜日

合気道と天風哲学3

 天風哲学の基本的な考え方は、「絶対積極」を目指すというところにあります。


 具体的には、稽古中寒くて「今日は寒いですねー」というような話になった場合、「良かった。今日の稽古は精神を鍛える絶好の機会だ!」(笑)と“無理しない”でそう思える状態。


 これが、「絶対積極!」。


 お風呂に飛び込んだはいいが冷たかった場合…、「ラッキー。こんな冷たい経験はなかなか味わえないな。そうそう、これをきっかけに今後は注意深い人間になれるだろうし、また、無料で大寒禊(みそぎ)ができた。なんともありがたいことではないか、ハハハ~」と“全く無理しない”(笑)で笑える状態、


 このような状態(考え方ではない)を「絶対積極」といいます。


 なお、一般的なプラス思考やポジティブ思考とは少々異なります。


 プラス思考やポジティブ思考は、下手すると「もしかしてだけど~♪」のような勘違いした人を増産することになりかねませんので、ちょっと注意が必要ですね…(笑)


 天風哲学では、積極的な心を厳密に分類すると「絶対積極」と「相対積極」の二つに分類され、いわゆるプラス思考やポジティブ思考は、相対積極に分類されると考えられます。まだ、若干作為的で無理している感じが無くなっていない状態が相対積極…、と言う風にも表現できますね。


 絶対積極とは、「何事に対しても虚心平気の状態」!


 相対積極とは、「何事に対しても、できる限り明朗、前向き、溌剌として対応すること」!


 どちらも大事ですが、絶対積極は相対積極から生ずる境地と言うべきかもしれませんね。


…つづく


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2016年10月10日月曜日

合気道と天風哲学2

 さて、心身統一法とは、天風哲学と呼ばれる宇宙観、生命観、人生観を基に「命の持つ力を最大限発揮するための理論と実践論」です。


 人間の“命”は、“心と体が一つになって支えており”、心の態度を積極的にし、体の状態を健全に保つことで、健康で幸福な人生を堂々と歩むことができるための具体的な方法論を述べたものです。


 この「命の持つ力を最大限発揮するための理論と実践論」である心身統一法は、説法を開始したのが大正時代であり、当時は講話が主な伝達手段であったようで、その頃の講話録等がたくさん販売されていますが、なかなか講釈が面白くて飽きませんよ。


 参考までに中村天風氏の講話(抜粋)を紹介します。


<心の思考が人生を創る>
 可能なかぎり、消極的な気持ちで肉体を考えないようにすることが何よりも大切である。特に病のときは病を忘れる努力をすべきである。一言でいうならば、「人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ」、


 心が積極的方向に動くのと、消極的方向に動くのとでは、天地の相違がある。ヨガ哲学ではこれを、「心の思考が人生を創る」という言葉で表現している。


<生活の情味を味わう>
 生活の情味を味わわずに活きている人は、本当の人生生活はないといえる。もっと極言すれば、人間の幸いとか、不幸とかいうものは、結果からいえば、生活の情味を味わって活きるか否かに所因するといえる。


 貴賎貧富などというものは第二義的なものである。実際いかに唸(うな)るほど金があっても、高い地位名誉があっても、生活の中の情味を味わおうとしない人は、いわゆる本当の幸福を味わうことは絶対にできない。


<家庭について(抜粋)>
 人生は笑いで過ごすことである。一家揃って、特に主人をはじめ家族の外出や帰宅の際は、一層ニコニコすることが肝要である。多少の不満や不平はさらりと捨てて、況(いわん)や無始無終の宇宙生命に比すれば、人の命は決して長いものでない。


 従ってどんなに愛し合っても、また健康であっても、百年と一処(いつしよ)に生活はできるものでないということに想到したら、終始一貫笑顔で睦(むつ)まじく暮らすのが、最も正しい人生生活だと気がつくであろう。況(いわん)や、怒ったり、争ったりするために、家庭を持つのではないはずであるから…。


…つづく


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2016年10月3日月曜日

合気道と天風哲学1

 あまり表だって話をしたことはありませんが、高橋師範を始め、当会と関係の深い合気道小林道場の小林保雄師範、小林弘明師範、合気道研心会の畑山憲吾師範、そして、私も中村天風氏の天風哲学の影響を多々受けており、現在も日々実践中です。


 当会が武道の世界にありがちな「怖い」や「ストイック」なイメージとは一線を画し、とても明るく前向きな雰囲気で常に冗談が飛び交っているのはその影響があるようです。


 さて、中村天風氏とは?



 中村天風(なかむら てんぷう 1876年~1968年)氏は日本の思想家、実業家、元諜報員。日本初のヨガ行者で、天風会を創始し心身統一法を広めた。本名は中村三郎(なかむらさぶろう)。

<参考>
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%A4%A9%E9%A2%A8



 明治9年(1876年)、旧柳川藩士の家系で東京に生を受ける。


 幼少の頃から手が付けられない暴れん坊で、明治から昭和前期にかけて活動したアジア主義者の巨頭で玄洋社の総帥でもある頭山満氏に預けられる。その後、玄洋社の豹と呼ばれる。


 6歳の頃より、随変流抜刀術を学ぶ。天風とは、自身の修めた隋変流抜刀術の「天風(あまつかぜ)」という技から名づけられた。


 16歳の時に帝国陸軍の諜報員(スパイ)となり満州で活躍。その後、人斬り天風と呼ばれる。


 諜報員時代の生活の影響からか、当時は不治の病であった結核を患う。


 結核を治すため、世界中を旅し、求道の日々を過ごす。


 病気を治すための旅の途上でインドの聖人カリアッパ氏と出会い弟子入りしヒマラヤでヨガを学ぶ。


 その後、中国で孫文が起こした第2次辛亥革命に参加したが革命は挫折。


 日本に戻り、東京実業貯蔵銀行の頭取などを歴任し実業界で活躍。


 その後、思うところがあり、すべての職を辞し、カリアッパ師に学んだヨガを基にした心身統一法を考案し、「統一哲医学会」を設立。


 街頭にて心身統一法の辻説法を始める。


 その後、「統一哲医学会」を「天風会」に改称。


 昭和43年(1968年)永眠。



 …私のイメージでは、「思想家、哲人、導師」というところでしょうか。


 中村天風氏の組織した天風会(現在は公益財団法人)には政財界の実力者が数多く参加されており、師事していたのは、代表的なところでは、東郷平八郎、ロックフェラー三世、宇野千代、稲森和夫、双葉山等々の錚々たる顔ぶれ。


 なお、合気道界にも、中村天風氏の天風哲学に影響を受けた師範が多数いらっしゃいます。


 二代目道主の植芝吉祥丸先生を始め、多田師範系列、佐々木将人師範系列、藤平光一先生の気の研究会系列がその代表といったところでしょうか。


 …つづく


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2016年9月26日月曜日

凶運を避ける方法

 「凶運を避ける方法」について、面白い記事がありましたので参考までに紹介します。


1.幸せの基準を下げる
 「生きているだけで幸せ、死にたいってやつがいたら、こう言えばいいよ、試しに三分息を止めてみな、その後息をしたら、あー生きてて良かったと思うはず」


2.すべてのことに感謝する(聖書)


3.陰ひなたなく働く


4.明るく笑顔でいる


5.自分の欲や栄誉名誉のためではなく、人のために役立つ生き方をする


6.「嬉しい、楽しい、ついてる」の天国言葉を口癖にする


7.「嫌なことがあったら有り難う、良いことがあったら感謝します」と言う


 小難しく書いていなくので、分かりやすくていいですね。



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2016年9月20日火曜日

生死に執着しない生き方

 「私達は、今も一歩一歩死に向かって行進している存在‥」。


 これだけは間違いのない真理、よっぽど暢気な人でなければ、一度は考えたことがあるはすです。


 ‥しかし、なかなか実感が伴わないために忘れがちですよね。


 さて、二十歳過ぎの頃の挫折以来、つい最近まで、いつ死んでもいいと思っていました。


 その挫折を乗り越えようと悩みに悩み、苦しんだ結果、掴み取ったこの世を楽に生き抜く方法、それは、「生死に執着しない生き方」でした。


 様々な悩み、それは、究極的に生死に行き当たることに気づいたからです。


 このため、余計な物は持たない、どんな人にでもできるだけ親切のありったけをしておく、葬式代程度は貯金しておく、守るべき物(者)は最低限、義理とつきあいはほどほどに、人に見せて恥ずかしいものは所有しない等々、現在も実践を続けています。


 結果、様々な意味でのチキンレースには負けたことがありません。


 そんな中、30代初期の頃、まだ少しだけ欲が残っていると気づきました。


 それは、「いつ死んでもいいけど、犬死にはいやだな」ということ。


 「犬死にはいやだ。せめて子犬を助けた‥とか、なにがしかの理由が欲しい」、そう、思っていました。


 まだ、名誉欲をぬぐい去ることが出来ていなかったようです。


 しかし、これもどうにか工夫して乗り越えたつもりでした。


 でも、先日、「これは未だ死ねないな‥」と感じることがあり、再び死というものを意識するようになりました。


 死という存在に対する意味と回答は、既に私の中ではできています。


 怖いというのではなく、「そうなったら寂しいな」という感じでしょうか。


 ただ、もう少し人生を楽しみたくなったというのが本当のところ。


 「まずいな-(笑)、せっかく乗り越えてきたのに‥。でも、まぁいいか」(ちょっとした開き直り)という感じです。


 そこで気がつきました。


 それは、「死というものに対して、気楽になっている」ということ。


 「生死に執着しないというのは、いつ死んでもいいということではなく、生にも、死にも、全く執着しないこと」が正解だったようです。



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2016年9月12日月曜日

封書を四十までに開け

 「封書を四十までに開け」


 “現代の覚者たち 致知出版社”の」覚者の一人、教育者の森信三氏の言葉です。
<参考>
http://shop.chichi.co.jp/item_detail.command?item_cd=159&category_cd=SHOSEKI


 封書とは?


 要約しますと、


 「人は、この世へ送られた使命がある。その使命が何であるかは、神様が使命を記載した封書を一人ひとりに授けているため自らが開封するしか手段はない。それも、遅くとも40歳までに開封しなければダメだ」という意味です。


 さて、「音もなく 香もなく 常に天地(あめつち)は 書かざる経をくり返しつつ」という言葉がありますが、20代の頃からでしょうか? この言葉が頭の片隅から離れず、日々生じる所縁…、その意味を考え続けてきたように思います。


 その結果、ちょっとした“におい”程度ですが、自分の使命を30代半ばぐらいには感じていました。


 道場を開いたのも、もちろんその延長線上にあるからにほかなりません。


 私が道場を開いた年がちょうど40歳でしたので、先ほどの封書の話からすると、天からギッリギリ(笑)で合格証書をいただけたのでしょうか?


 それとも、「この方向に進めばよいのだよ!」と、何者かが背中を後押ししてくれているのでしょうか?


 何かそのような気分です…。


 この本は素晴らしい本です。


 久しぶりに電気が走りました。


 見識のある志の高い人の言葉は重みがありますね。


 今後も変わらず、「いかにこの人生を生ききり、魂を磨き究(極める)めるか」を、武道を通じて考えてまいりたいと思います。



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2016年9月5日月曜日

愚者は成時に闇く、智者は未萌に見る

 「愚者は成時に闇く(くらく)、智者は未萌(みほう)に見る」 戦国策


 「愚かな者とは、悪い物事が起こってきた段階でも、まだ気づかない人物であり、智慧のある者とは、まだ兆し(萌し)が起こった段階であらかじめ察知し、最適な対策を講じることができる人物のことですよ。」


 …という意味でしょう。


 未萌に見るとは、言わば危険察知能力。
 厳しい実社会を安全に生き抜くためには大事なことです…。


 参考までに「合気とは、敵の仕掛ける技を未然に察知できる能力のことだ」と説明する古武道家もいらっしゃいます。


 確かに敵の仕掛ける技が未然に察知できれば、これに越したことはありませんね。


 なお、この「智者は未萌に見る」は元来、武道家の徳の一つとして重要視されてきたものです。


 さて、社会生活上では、

 1.「何となく気になる。または、何となくそんな感じがする」、

 2.「自然と周囲から自然とある方向性へ誘導されている」

 …が羅針盤です。


 もちろん、これには空気が読める以上の感覚(嗅覚?)が前提になります。


 このことが理解できる精神状態で、この事実に確信が持てた場合にようやく「見えないものへの感謝」や「おかげさま」の意味が理解できるようになり真の信仰心が生じます。


 このうえで始めて、「智者は未萌に見る」ことが可能になるようです。


 何も宗教の話をしているのではありません(笑)


 古今東西の「覚者」と言われてきた人には、当然のこととして生じる事実ですし、「このことなくして大成することはない」と喝破する空手家も存在します。


 合気道開祖植芝盛平先生の神業も「未萌に見る」ことなくしては不可能でしょう 。



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