宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

2016年5月23日月曜日

直心是道場

 「直心是道場」という言葉が、維摩経というお経の一節にあります。


 修業の場を求めている童子から「どこか素晴らしい道場はないでしょうか?」という質問を受けた維摩居士が、「道場というものは外に求める必要はありません。直心是道場ですからね」と諭した内容からきたものです。


 「直心」とは、「正直で素直な心」また「自然な心」のこと。


 この直心さえ見失わなければ、場所など関係ないという意味でしょう。


 さて、その直心を理想とした「直心影流」という古流剣術があります。


 もう随分前ですが、剣道の先生からこの直心影流の形の一つである「法定」という一見単純で、無骨で華やかさなどは微塵もない4本の組形を学んだことがあります。


 この先生は、いつも一人でウンウン唸りながら太い木刀を使用して20分程度形を行っていたため、始めは一人で行う素振り用の形だろうと思っていましたが、何故か強く惹かれるものを感じていました。


 ‥この先生は、きっと打ち合う相手が欲しかったのでしょう。


 「面白いものではないよ」、「どうせ続かないと思うよ…」 などといいながらも懇切丁寧に教えていただきました(笑)


 確かに若い時の私には、何がなんだか・・・よく分かりませんでしたが、「教えてください」と言ってしまった手前、この先生が異動になるまで相手をさせられた思い出があります(笑)


 ただ最近、この形の素晴らしさがようやくわかり始めました。


 「もっと真剣に学んでおけばよかった…。」というのが正直な気持ちです。


 門外漢ながら、最近この「法定」の形は、直心影流剣術哲学の集大成ではないかと思いはじめています。


 その剣道の先生も「この形を真に体得できればいいんだ」とか、「この形さえできれば人生で行き詰まることはないのだが‥」などとつぶやかれていました。


 私も当時の先生の年齢に近づき、ようやく真の意味が分かってきました。


 単純な「八相発破」、「一刀両断」、「右転左転」、「長短一味」という4本の形なのですが、求めるものは剣の技術だけではありません。


 「八相発破」は、機先を制することを主眼とした形。


 「一刀両断」は、捨て身、刺し違える気持ちを練る。


 「右転左転」は、臨機応変さを学ぶ。


 「長短一味」は、即今只今ここで死ぬことを求める形です。


 また、「八相発破」は春、「一刀両断」は夏、「右転左転」は秋、「長短一味」は冬という風にも表現されています。


 結局のところ、


 「問題が起こる前に対処する」

 「欲を捨て去る」

 「自分が変わらないために変化していく」

 「そして悟ること」


 この四つを真に修練しておけば「人生途上で行き詰まることはない」ということだと思います。


 表現は私風ですが、以上のことを学ぶためにウンウン言いながら、丹田に力をこめて行います。


 もちろん剣の技術も学ぶのですが、主眼は別のところにある・・・。


 日本武道は、やはり奥が深いものですね。



【リンク】
◇宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」
https://sites.google.com/site/gentokukai/


◇合気道元徳会ブログ「合気の舞」
http://gentokukai.blogspot.jp/


◇合気道元徳会道場長コラム「サムライハート」
http://aikido-gentokukai.blogspot.jp/


◇Youtube「Aikido Gentokukai」チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCs_Khixbq0eEYtQcD27Vdnw