宮崎県西都市を中心に活動している宮崎合気道会グループ「合気道元徳会」道場長による武道コラム - サムライハートSamurai Heart。私達は、合気道の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいと考えています。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。詳細は、合気道元徳会のホームページをご覧ください。

2017年2月20日月曜日

合気道と天風哲学20

 今回から、「寝際の心がけ」について説明します。


 この寝際における心がけには、「連想暗示法」と「命令暗示法」の二種類がありますが、今回は連想暗示法について紹介します。


 連想暗示法とは?


 「悲しいこと」、「腹のたつこと」、「気がかりなこと」等々の「消極的なこと」は寝床の中に一切持ちこまない。明るく朗らかに、生き生きとして勇ましい積極的なことを連想する。


 ‥ということです。


 ご存知の無い方が多いのですが、私達人間は、
 「脳が正しい位置関係にない状態(=姿勢が悪い状態)で物事を考え続けた場合」、
 「生命エネルギーが減少している場合」、
 「ショックな出来事に遭遇した場合」、
 ‥などには、『消極的な考え方・マイナス思考・後ろ向きな考え方』に陥ってしまう生き物です。


 なお、消極的な意識状態が一定期間継続されると、潜在意識がマイナス因子でいっぱいになります。いわゆる「気分が落ち込んだ状態」とは、潜在意識にマイナス因子が増加した状態のことです。


 潜在意識とは、心の中にある「倉庫」、または「引き出し」のような場所で、ここには、その人の考えたことや感情などが逐一100%確実に記録されています。「心の奥底」と表現してもよさそうです。この場所にマイナス因子が蓄積され、ある一定規模を越えた場合に「鬱」や「ノイローゼ」状態に移行します。


 神経質で生真面目な人は、失敗しないよう精いっぱい考えますので、「真面目な人ほど鬱になりやすい‥」というのは真理だと思います。また、他人を恨んでも、結局自分を傷つけることになりますので、‥ひょっとして、「人を呪わば穴二つ」の『真の意味』とは、こういうことなのかもしれませんね。


 一番やってはいけないのが、寝床で横になりながら、『悲しいこと』、『腹のたつこと』、『気がかりなこと』などを頭の中でグルグルと思い巡らすことです。何か陰気臭い(笑)感じがするブラックオーラに覆われている人は、たいがいこれが習慣になっているようです。


 人は横になると脳が正しい位置関係でなくなるため、脳が正常に機能することができずに自然と思考回路がマイナス気味になると言われていますが、同時に心身がリラックスした状態になりますので脳波がリラックスモードに変化し、いつも以上にマイナス因子を潜在意識に刻み込みやすくなります。これが続くと確実に鬱状態に移行し、やがて精神を病むことになりますので注意!


 逆に言えば、横になっている時や寝る前などは、潜在意識にプラス因子を叩き込む最大のチャンスですので、連想暗示法を活用し、「明るく朗らかに、生き生きとして勇ましい積極的なことを連想」すべき時です。潜在意識がいつも陽気で満ちている状態になるよう努めましょう。


 結局、マイナス因子で溢れている潜在意識をプラス因子で満たすために行うのが連想暗示法ですが、茶色く濁ったコップの水に一滴一滴と少しずつ水を滴らせると、いつの間にか茶色く濁っていた水の色が薄まり、いつかは綺麗な水になりますが、これにとても似ています。‥ということから、即効性はありません。少しずつ習慣化しましょう。


 どんなに嫌なことがあったとしても、決してそれを消極的な印象で心に深く刻みこませず、また、どんな嫌いな相手でも、「そうそう今の私があるのは、あなたが私にとった理不尽な発言や行動のおかげ♪ とその人に対して投げキッス」でもしているイメージを持つこと(笑)、これも立派な連想暗示法の一つです。


 武術的には、「さっと見切って、気にせず入身」という感じです。
 なかなか難しいことですが、できるだけ早い時期にこのような思考法を身に着けると得だと思いますよ。


…つづく


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